「全く、しつこいなぁ…何度も違うって言ってるのに」
セイ・ヴィクトリィは、森の中を駆け抜けながら、愚痴をこぼした。
(たかが僕が銀髪ってだけでいきなり、だもんなぁ…)
セイは、この状況に陥るまでのことを思い出していた─

* * *

セイは修行を終えて、双造大陸グラストリアの中心部にあるセントール地方にある故郷、アストアシティへの帰路の事だった。
大陸西部・ポセイダヌス地方とセントール地方の国境を越え、セントール中央国に向けて歩いている途中。

「オイアンタ、ちょっと待ちな」

唐突に背後から呼び止められた。
振り返った刹那、声の主─黒髪の少年だった─はいきなりセイに殺気を向け、その腰の両側に携えた2本の短剣を抜き放ち、斬りかかった。

ガィンッ!

唐突の事ながらも、セイは素早く反応し、自らも携えている片刃の長剣を抜いて攻撃を受け止めた。

「ヘェ…やるじゃねえか。今の不意打ち、避けるとはな」
「いきなり何をするんだ!」

当然の抗議である。
なにしろ、声を掛けておいていきなり斬りかかるのだから。

「アンタ…この前ここいらでオレの部下に闇討ち掛けなかったか!?」
「何の事だよ!?僕はそんな事知らないよ!」
「とぼけんじゃねェッ!その銀髪が何よりの証だ!」

ワケの判らない事を叫びつつ、さらに斬りかかってくる。

キィン! ガキン! カァン!

さらに2、3合。
セイは、その全てに的確に反応し、相手の攻撃を捌く。

(何のことだか判らないけど、とにかく誤解を解かないと…!)

セイは突然の事態に対処するため、間合を取って剣を収め、今来た道を戻って近くの林に駆け込んだ。

* * *

あれからいったいどのくらい走っただろうか。
とにかく、森の中というのは薄暗いため、足元の障害物が確認が困難で走り辛い。
しかし、その状況でも、セイは足元に躓くことなく走っている。
驚くべき身体能力と感覚である。
だが、セイを追いかけてくる少年は木の枝の上を跳躍しつつ追いかけてきている。
こちらも凄まじい跳躍力である。

(まったく、しつこいなぁ…)

セイはこの状況に辟易していた。
かといって、足を止めるわけには行かない。
恐らく、森の中では向こうに分がある。
ある程度開けた場所を探すしかない。
むろん、この状況下でも相手を倒す自信はあるにはあるが、今は抵抗できなくする事が目的なのだ。
より自分が優位な状況で戦う必要がある。

* * *

程なく、やや開けた岩場に出た。
ここでなら、いいだろう。
セイは足を止めた。その刹那。

「もらったぜ!」

少年は自分に向け突っ込んでくる。
セイは体を半歩横に逸らしただけでそれを避ける。

「チイッ!」

舌打ちしつつ、右手で逆手に持ったダガーを横に閃かせる。
これも半歩引いて避けるセイ。
さらに繰り出される左手のショートソードでの突き。
セイはこの突きを体を捻りつつ避け、その体の流れを利用して、いったん鞘に収めておいた長剣を抜き放つ。
そして、そのまま初めての反撃に転じた。
剣を抜き放つ勢いを利用した斬り上げで、相手がたった今繰り出した左のショートソードを弾き、体勢を崩させる。
相手もそれを読んで、セイの斬り上げを二刀で受け止め、弾き返す。
その反動で二人は離れ、仕切り直しとなった。

「ヘッ…やるじゃねぇか。気に入ったぜ、アンタ。オレはユーベル。ユーベル・レイデンヘヴンだ」
「僕の名はセイ・ヴィクトリィ」

構えを崩さぬまま、互いに名乗った。

「…行くぜ、セイさんよぉ!」

吼えて、ユーベルは疾る。
セイは、動かずに待ち構える。

「オラオラオラァ!」

右の突き、左の斬り払い、返し斬り、右の袈裟斬り、斬り上げ。
二刀を活かした連続攻撃。
しかし、セイは一歩も動くことなくそれらの攻撃を全て受け払い、流し、受け止め、弾き返す。
弾き返した勢いを利用し、反撃に転じるセイ。
斬り上げから突きを三連続で撃つ。そこからさらに真っ向からの切り降ろし。
追撃の手を休めず、そこから斜めに斬り上げ、そしてさらに腹部を狙った横薙ぎの攻撃に派生させる。
驚くべき事に、セイは剣一本にも関らず、ユーベル以上の速度で連撃を繰り出している。

「チックショオォォ!」

焦ったユーベルは、二刀で同時に斬りかかる。
セイは振り下ろされた二刀を立て続けに弾き返す。
ユーベルはたたらを踏んで一瞬体制を崩す。しかし、セイにはその刹那の一刻で十分だった。
ユーベルに生じた隙を突いて喉元に自分の剣を突きつける。
勝負あった。

「…殺れよ」

ユーベルは観念し、両手に持っていたダガーとショートソードを捨てる。
しかしセイは剣を収め、ユーベルに向き直り、彼を落ち着かせるために一言。

「殺すも何も、僕は事情が判らないまま君に襲われて戦っていたんだ。はなから君を殺す気なんてないよ」

そう言われ、ハッとするユーベル。

「…やっぱ、違う。アンタじゃねぇ」

落ち着きを取り戻したユーベルが、セイに向けて言った。

「ここで戦ったのも何かの縁だ。よければ、事情を聞かせてくれよ」
「…なんでアンタなんかに」
「君は僕に敗れた。それは事実だろ?本来なら、君は僕に命を奪られてもおかしくない」
「…っ!」

事実を指摘され、悔しさで顔を染めるユーベル。
だが、言い返せない。

「そもそも僕は、何で君が僕を襲ったかを聞きたかっただけなんだ…話して、くれるよね」
「…わかったよ、話すよ。話せばいいんだろ」
「それでよろしい」

完全にユーベルを子供扱いするセイ。

「話す前に、二つだけ言っておく」
「なんだい?」
「オレの事はユウって呼べ。あと、オレを子供扱いするんじゃねぇ」
「わかったよ、ユウ」
「あと、もう一つ。事情を教える代わりに、オレに協力して欲しい」

* * *

「さってと…どっから話してやりゃあいいもんだか…」

セイがユウに誤解を解いたその後。
ユウから事情を聞くことになり、とりあえず二人はセントール地方の偏狭にあるルホニアという小さな村へ。
今、二人はその村の喫茶店にいる。
ユウも事情を話そうとはしているが、どういった点から話すべきか迷っているようだった。
話を円滑に進めるためにセイは切り出した。

「まずは…何で僕に襲いかかったんだ?それをはじめにハッキリさせて欲しい」
「あまりデカい声で言うなよ…。実はオレ、盗賊団の頭やってんだ」
「…!?」
「ま、フツーは驚くわな…。いきなり面と向かって『自分は盗賊団のリーダーです』なんて言われりゃあ、な」

ユウのいきなりの一言に、セイは思わず息を呑んだ。
そのセイの反応を見ても、ユウは顔色一つ変えず、いけしゃあしゃあと言い放った。
おそらく、ユウは普段から対話相手とこういったやりとりを行っているのだろう─セイはそう解釈した。
そして、ユウはさらに続けた。

「だけど、オレ達は義賊だ。決して普通の連中からは盗ったりしない。それだけは信じて欲しい」
「なるほど、ね…」

ユウの眼には嘘の色はない。おそらく、本当のことなのだろう。
まあ、いくら義賊を名乗っててはいても、罪を犯しているということには変わらないのだが。

「けど、じゃあ何で…?」
「さっきも言ったろ。オレとアンタが一発やらかした辺りで、オレの仲間がいきなり闇討ち食らったって」
「そう言えばそんなことを言ってたな…」

ユウと一戦交える前までの経緯を思い出しつつ、セイはユウと話を進めた。

「…で、僕を銀髪だから襲ってきた、ってことは、犯人は銀髪だった、ってことか」

セイの問いかけに、ユウは頷く。

「ああ…闇討ち食らった連中の一人がそう言ってたから間違いねぇ」
「ほかに特徴は聞いてないのか?体格とか、服装とか」
「気づいた瞬間にはもうやられてたからな…かろうじてそいつは銀髪、ってことを覚えるのがやっとだった、ってぇわけさ」
「情報はそれだけか…」

つぶやくセイ。それを聞いて、ユウは付け加えた。
「いや、一応他にもまだある。まあ、どこまで信憑性があるかは判らねぇが…2,3人でこれで国庫の使い込みの分を…とかって言ってたのを聞いたらしい」
「国絡みの問題になりそうだな…」

ひとしきりユウの話を聞いて、うめくセイ。

「だから、オレも迂闊に動けなかった。せいぜいその辺通る銀髪のヤツを締め上げて、犯人捜すのが関の山だった」
「僕の前にもそんなことやってたのか…?」
「しょうがねぇだろ。他にどんな証拠があるか判らなかったんだし」

半ば呆れ顔で問うセイに、こっちも投げやりな表情で返すユウ。

「やれやれ…。とにかく、一旦その現場に案内してくれよ。何かまだ手掛かりがあるかも知れないし」

溜息つきながらも、セイはユウに提案した。
ユウも特に異存はないらしく、二つ返事で了解した。
そして、ユウは不思議に思いながら、セイに聞いた。

「なぁ…本当に付き合うのか?こんなことに」
「最初に言ってただろ?この話を聞いたら協力して欲しい、って」

ユウの問いかけに、迷うことなく答えるセイ。
それを聞いて、多少面食らった表情になるユウ。
それを尻目にセイは続ける。

「それに…ここまで聞いた以上、放って置く訳にも行かないし、ね」

そう言いつつ、セイはユウに微笑みかける。

「─ありがとうな」

そっぽを向きながら、少し照れた声で感謝を表すユウ。
それを見て、思い出したかのようにセイはこう切り出した。

「あ、そうだ。今度は僕が条件を出していいかい?」
「─? 何だよ?」
「この件が片付いたら、盗賊団じゃなくて傭兵団に仕事内容を変えて欲しい」
「何でまたそんなことを言い出すかな…?」

意外なことを言われ、意表を付かれた表情をするユウ。
「さっき戦ってみて思ったんだ。君は戦士としても十分にやっていける、ってね」

セイの、素直な賞賛だった。

「本当にそう思ってんだろうなぁ…?」

疑い深い眼差しでセイに問いかけるユウ。

「もちろん。もっと修行を積めば、必ずいい戦士になれるよ、ユウは」
「─考えといてやるよ」

照れ笑いしつつ、ユウはセイに言った。

「それじゃ、そろそろその現場に行こうか?」
「そうだな…それじゃ行くか」

こうして、二人は事の解決のために動き出す事となったのだった。

* * *

「─朝、か…。昨日の夜は結局何の手掛かりもなかったな」

朝日が差し込むテントの中で目覚めたセイは、何とはなしにつぶやいた。

ルホニアの村で今後の方針を相談した後。
セイとユウは、ユウの仲間が襲われたという現場へと戻って来ていた。
しかし、その現場に到着したのはもうじき夕刻になろうとした時である。
一応周辺の探索は行ってはみたものの、時を待たずしてすぐに空は夕日の朱の色に染まった。
それでも陽はまだ出ている、という事で探索を続けたのだが、すぐに空は朱の色から藤色へとその姿を変え、程なくして夜の帳が空を覆った。
もうこうなってしまうと探索は不可能である。
仕方なく、その近辺で夜を明かす事となったのである。
もちろん、深夜に誰かがこの周囲に近づくのを見越して物陰になりそうな場所を選び、さらに近辺に警戒用の簡単な仕掛けを作ったうえで。
しかし、それは結局取り越し苦労となった。
人どころか、小動物一匹近づかなかったようだった。

「ふぁぁぁぁぁ…よく寝た。うっす、セイ」
「おはよ、ユウ。…結局、昨日の夜は何も無かったみたいだね」
「みてーだな…。あー、どうでもいいけどハラ減った」
「そこの湖で魚とか獲れるといいんだけど」

そんな他愛ない会話をしている最中だった。

「…!」

セイは、不意に現れた何かの気配を感じ取った。
その様子を見て、ユウは疑問に思った。

「なあセイ、アンタ何で身構えてるんだ?」
「今、右後方に2つ3つ、妙な気配を感じた」
「勘違いじゃねぇのか?俺には何も─」
「シッ、静かに…」

未だ疑うユウを尻目に警戒を続けるセイ。そして。

「…?ホントだ…何か近づいてくる」

その直後、ユウもセイの言う気配を感じ取る事が出来た。
そして、最終的にその気配は20近くにまで膨れ上がっていた。
最後の最後まで感じ取る事が出来なかった気配は、明らかに手慣れのものである。

「…で、どうする?このままここに突っ立ってるってテは無しだよな」
「一旦適当な茂みに身を隠そう」
「やっぱ、それか」

二人が近くにあった茂みに隠れた瞬間、気配の主と思われる集団が現れた。
全員軽装ではあるものの武装しており、さらにその中の数人が纏っているマントにはセントール中央国という事を表す、鹿の紋章。
この近辺に狩りに来た貴族の一団ではない、という雰囲気が見て取れる。
明らかに、何かを探している様子だった。

(しまった─!)

そして、セイはこの時手痛い失敗をした事に気付いた。
テントを隠すのを忘れていたのだ。
慌てていたとはいえ、初歩的かつ致命的なミスであった。

「…おい、何だこのテント?」

程なくして、その集団の一人がセイ達のテントを発見していた。
セイは自分達が隠れている場所のそばに来ないよう祈るしかなかった。
その祈りが通じたのか、セイにとっては嬉しい結果となった。

「どうせ、どこかの旅人が使ってたんだろう…放っておけ」

そう思ったのもつかの間。

ぱきん。

ユウが不意に小枝を踏みつけてしまった。

「─なんだ!?誰かこの辺にいるのか!!」

ユウは痛恨の表情を浮かべたが、もう遅い。

あっという間に、周囲を警戒する気配が漂った…。

* * *

「あ〜あ、マズッちまった…ワリィ、セイ」
「僕もテントを片付け忘れていたから、どっこいどっこいだね。…でも、このまま隠れてる訳には行かないな」
「しゃあねぇ…仕掛けるか?」
「ああ。でももうちょっと待とう。あいつらをもっと引き付けた方がいいかな」
「了解」

二人は茂みの中で、互いの声がようやく聞こえる程度の小声で相談していた。
ユウが小枝を踏み付けた瞬間から、二人が隠れていた茂み周辺に、あっという間に目の前にいる怪しい連中たちの警戒の色が漂った。
この場を上手く切り抜けるには…やはり、連中と戦闘するしかないようだ。
しかし、こういった追い詰められた状況ほど、慎重に動くべきである。
戦闘を仕掛けるタイミングを計るセイ。しかし。

ばちんっ。ひゅっ。

弓から矢の放たれる音と、矢の風切り音。二人は、確かにこの音を捉えていた。
こちらの行動を見越してか、はたまた単なる確認か。
いずれにせよ、自分達に向かって矢が撃たれたのは事実である。
その刹那。

きぃぃん!

(しまった─!)

セイは、反射的に飛び交う矢を剣で弾き落としてしまった。
普段からの癖とはいえ、最悪の行動である。
これで、こちらの存在が相手にバレるのは時間の問題となった。

「─誰だ、出て来い」

こちらに呼びかける声。
観念して、セイは茂みから立ち上がった。
その刹那。

「オラァ!」

ユウが茂みから飛び出し、二刀剣で声をかけた男に斬りかかった。
セイを囮として、ユウが不意打ちをかけたのだ。
敵も、そしてセイすらもこれは予想していなかった。
斬りかかられた男も何とかユウの一撃を避けたものの、完全に意表を突かれて驚愕の表情を浮かべている。
その時、男がつけていた兜の顎紐をユウのダガーがかすめ、男の被っていた兜の顎紐が切れた。
その勢いで男の兜が脱げ落ち、その見事な銀髪が湖畔の照り返しを受けて輝いた。

「まさか…!おい、テメェら!何日か前にここいらで人を襲わなかったか!?」
「ああ、あの盗賊どもか…。確かにやった。我々の企みを聞いてしまったんだからな」
「たったそれだけの理由で…許せねぇ!」
「生意気な…皆の者、この愚かな小僧を血祭りに挙げろ」
「させるかよォ!」

言いつつ、連中に斬り込むユウ。迎え撃つ男達。
その二つがぶつかり合うその刹那。

「ユウ、僕はただの囮かい?」

何とも場違いなセリフを言いつつ、セイがユウの隣に立つ。

「何言ってやがる。アンタがヘマやらかしたんだから、オレがフォローしてやったんだろ」
「判った判った。それより、来るよ」
「わーってるよ!」

ユウが、セイが思い思いに敵の真っ只中に突っ込んでゆく。

「ユウ、殺しちゃダメだ!君の仲間を襲った理由を聞き出さなきゃ!」
「ヘイヘイ!わーってますって!」
「死ねェェイ!」

セイに向かって振り下ろされる刃。
セイはその一撃を相手の懐に踏み込み、背に構えた剣で受け止める。

「ハァァ!」

そのまま飛び退りつつ、相手の腕の腱を斬り払い、怯んだ隙に今度は反対の腕の上腕部を貫く。

「オラァァ!」

ユウはユウで、立ち向かう相手を片っ端から剣の腹で殴り付けている。

(うへぇ)

その凄まじく鈍い音を聞きつつ、セイはユウに倒された相手に同情する。

二人とも相手を殺さないように戦う、という条件にも関らず、次々と相手を打ち伏せている。
それだけ、二人と敵の間には力の差があるのだ。
程なくして、残ったのは神霊士の格好をした男のみ。

「さーて、あとはアンタだけだぜ。とっとと観念しな」

余裕の表情で相手に近づくユウ。
その刹那、男が不気味な笑みを浮かべつつ、言い放った。

「この程度で観念しろだと…片腹痛い。この私、リグルスの真の力、見せてくれる」

そこまで言ったあと、自らをリグルスと名乗った男は言魂(ワーズ)を唱え始めた。

「我が元に来たれ…パズスよ!」
「召還術(サモニック)!こいつ、召還士(サモナー)かよ!」
「いや違う…これは霊憑術(レデューミック)…。という事は、アイツは霊憑士(レデューマー)か!」
「そう…それも凶魔(デビル)霊憑士だ」
霊憑士とは、自らの肉体に力ある霊魂を憑依させてその霊の力を行使する術士である。
その中で凶魔霊憑士は、凶魔のみを憑依対象とする。
そして、リグルスがその身に憑依させたパズスは、凶魔の中でもやや上級に値する、かなり力の強い存在である。
そして、その肉体も徐々にパズスと化してゆく。
もちろん、この肉体変化は憑依させている凶魔を開放すれば元に戻る。

「おいおい…マジかよ、こんなヤツと戦えってのか…?」

ユウは震え声で毒づいた。
しかしセイは、この光景を見ても落ち着き払っていた。

(仕方がない…シオン、使うよ。『あの力』を)
(その力を使う使わないは、あなたに委ねた筈ですよ、セイ)
(そうだったね…じゃあ、使わせてもらうよ)
(ただ、今はまだ『剣』の開放と気法の行使のみにしたほうが良さそうですね)
(判った─)

セイは、自らの心に宿る、今は肉体を失った師匠の魂の欠片と対話した。

「ユウ…こいつは僕に任せて。君は、僕のサポートをしてくれ」
「いいけどよ…テはあんのかよ!?」
「僕を信じろ」

いつに無く、静かに、そして力強くセイは言葉を紡ぎ出す。
そして、セイは剣を構え、呟いた。

「見せてあげるよ…僕の力を」

* * *

「何をゴチャゴチャと…黙って死ね、我に歯向かう愚かな未熟者共」

パズスと同化したリグルスが、二人に向かって巨大な瘴気弾を放つ。
ユウは瘴気弾を避けるため、大きく横に跳び退ったが、セイは自分の正面に剣を構えたまま身じろぎもしない。

「おい、セイ!避けろ!避けなきゃ死ぬっての!!」

そのユウの必死の叫びも、セイには届いていないようだった。
まるで何かの機会を待つかのように、目を深く閉じている。
そしてその刹那。

「シグムンド! 封印開放(シール・ブレイク)!!」

セイは叫ぶと同時に、構えていた剣を振りかざした。
そして、何も無かったかのように瘴気弾はセイを飲み込んだ─はずだった。
セイは傷一つ無いまま、その場に立っていた。

『な…?』

リグルスも、そしてユウも驚愕の表情を浮かべている。

「有り得ん…有り得ない!瘴気を剣で斬り裂いただと!?」

ワケが判らないという表情で、リグルスは叫んでいた。
普通は不可能なのだろう。しかし、セイの周囲に霧散している瘴気を見れば判るとおり、セイはそれを実際にやってのけたのだ。

「貴様!何故…何故そのようなふざけたマネが出来る!」
「答えは…これさ」

狼狽し、取り乱しつつも問い掛けを紡ぎ出すリグルスに、セイはその手にした剣を掲げて見せた。
目を凝らして見ると、今まで鈍色だったその刀身が、白銀の輝きを放っている。

「この剣は、精神剣シグムンド。僕の精神と同化してその力を解放し、本来ならば斬り裂けない様なものも斬る事が出来る剣。そして、僕がとある称号を名乗る時、その証となる剣さ」
「称号…だと?」

いぶかしむリグルスを尻目に、セイは高らかと名乗りを挙げた。

「僕の名はセイ・ヴィクトリィ!精神気選択者(マインド・プラーナ・セレクター)!忘れさられし精神気法を受け継ぐ者なり!」
「何…!?」

驚愕の表情を浮かべるリグルス。

「…なんだそりゃ?」

何の事か判らず、首を傾げるユウ。

「本当に…本当にこの世に実在したのか…忘却気法(リーヴ・プラーナ)と呼ばれし精神気法が!」
「そうさ…神霊王達に選ばれし8人の神霊選択者(プラーナ・セレクター)達の陰となって、今までずっとこのグラストリアの地を守り続けていたんだ」
「…クッ…クククククククク…ハァーッハッハッハッハッハァ!」
「…何がおかしい?」

セイに対し、不敵な笑みを浮かべるリグルス。

「素晴らしい…素晴らしいではないかァ!伝説上の存在でしか無かったあの精神気法の使い手と雌雄を決する事が出来るのだからなぁ…!」
「…力に魅入られた、か…」
「力に魅入られる? いいじゃあないか、この力で、今まで私は歯向かう者を全て始末してきた!次は貴様の番だ、精神気選択者!」
「まだ救いようはあったと思ったけど…結局、こうするしかないのか…」

俯いたまま、その力に魅入られたリグルスに哀れみの言葉をかけるセイ。

「何を生温い事を言っている!」

その過ぎた力に溺れ、狂い叫ぶリグルス。
俯いたセイに襲い掛かるリグルスのその爪を、セイは俯いたまま腕ごと手にした剣、シグムンドで斬り飛ばした。
腕を斬り飛ばされ、その激痛から苦悶の叫び声を挙げるリグルス。
斬り飛ばされた箇所は、白銀の痕となっている。
霊憑術で憑依させた凶魔の身体が傷つけば、その傷は術者にそのまま還ってくる。
それは、どんなに高位の凶魔を憑依させても逃れようのないことである。

「貴様ァ!!」

怒り狂ったリグルスは叫ぶと同時に、今度は小さな瘴気弾を連続で乱射した。

「神弾散(マインド・ザッパー)!」

セイは、白銀色の気弾を指先から連続で射出し、その瘴気弾をことごとく撃ち落とし、またあるいはリグルスを攻撃した。
慌てて防御壁を展開し、セイの気法を防ぐリグルス。

「霊撃砲(スピリット・キャノン)!」

その隙を逃さず、セイの掌から白銀色の波動が放たれる。
リグルスは、何とかそれを防ぎきる。

「やはり…やるではないか…」

セイの気法を防ぎきった直後、腕を斬り飛ばされているにも関らず、未だなお不敵な笑みを浮かべるリグルス。
とりあえず、セイの気法を防御している間に落ち着きは取り戻していた。

「悪いけど…一気に終わらせる」

油断なく剣を構え直し、リグルスを睨みながら言い返すセイ。

「言うではないか…だが、果たしてこれを見てもそのようなふざけたことが言えるかな?」

余裕の表情で言魂を紡ぎ出すリグルス。

おぉぉぉぉぉぉ…ん─

そして、それと同時に周囲には呻き声のような音が木霊した─

* * *

「あのヤロウ…何しやがったんだ?」

突然響き渡った極低音の咆哮。
ユウはその咆哮を聞いた時からあたりを何度も見回している。
一方、セイはリグルスに向かい合ったまま微動だにしない。
リグルスは既に言魂の詠唱を終えている。
既に何らかの術の効果が発生してもいいはずなのだが、未だにその兆候がない。

「ユウ、気をつけて…もう既にアイツの使った術の影響が出ているかも」
「わーってる…」

セイは既に術の効果が発動していると考え、ユウに注意を促す。
ユウも口調は軽いが、声のトーンを落として応じる。
そしてその刹那、ユウはある異変に気付いた。
今までに自分達が行動不能にした男達が陰も形も消えてしまっていた。

ぼごっ。

ユウがその事実をセイに伝える間も、そのことを自分で訝る間も無かった。
いきなり、セイの足元から巨大な手が生えてきたのをユウは見た。

「セイ、避けろッ!!」

言うが早いが、ユウはその生えてきた手に向けてダガーを投げつけた。
ユウの投げたダガーが手に突き刺さった直後、セイはあわてて飛び退る。
それと同時に、セイは初めてユウが発見した異常に気付く。
セイが飛び退ったのを確認して、ユウはその手を切り落とし、ダガーを回収した。

「チッ、カンのいいガキだ…」

何らかの手段を用いた奇襲が失敗したのを見て、リグルスは舌打ちする。

「何を…したんだ?」
「フ…知れた事。今まで貴様らが片付けた連中をダシにして生霊憑依者(マッドフォーク)を造っただけだ」
「…なんて事を!」

生霊憑依者…いわゆる「霊に取り憑かれた人」なのだが。
違う点はその人の精神が取り憑いた霊に食われてしまっており、生ける屍に成り下がっている点である。
これは、故意にそういった儀式を行わない限り、絶対にあり得ないことである。
そう。
リグルスは霊憑術を使ってセイ達が行動不能にした男達を生霊憑依者を造り出したのである。
そしてリグルスに造り出された生霊憑依者達は彼を護るかのようにして、リグルスの周囲を取り囲んだ。

「彼らは私にとってただの駒だ。まあ、大して役に立たなかったから、こうしてもう一度役立ててやろうと言っているのだ」
「許せない…お前だけは絶対に許すわけには行かない…精神気選択者として!!」
「ようやくやる気になったか、精神気選択者!」

非常なるリグルスの言葉に、セイは静かに激昂した。

「やれ、生霊憑依者ども!!」
「く…!!」

リグルスの掛け声に従い、一斉に襲い掛かる生霊憑依者。
その刹那。

「オラァァ!」

ユウがセイに襲い掛かろうとした生霊憑依者の一体を斬り伏せた。

「ユウ…」
「セイ、このザコ供はオレに任せな。アンタはあのイカレた大馬鹿ヤロウをとっととぶちのめしてくれ。そんで…俺の仲間のカタキを討ってくれ!!」
「判った…任せてくれ、ユウ」

「精神斬剣(ウィル・ソード)!」

セイは精神気法を発動させ、精神気でシグムンドとは別に一振りの剣を左手に出現させた。
そして右手には精神剣シグムンドを握り締る。
二刀となった剣を構えて、改めてリグルスに向き直った。

「ここからは…全力で行かせてもらう」
「ならば、我も本気で行くとするか。覚悟するがいい…精神気選択者」

静かに対峙するセイとリグルス。

「とっととかかってきな…化けモンども!」

生霊憑依者の群に向かい、身構えつつ啖呵を切るユウ。
それを聞くが早いか、生霊憑依者たちがユウに襲い掛かる。ユウもそれを見て、生霊憑依者の群に突っ込んでゆく。

「オラオラオラァ!!」

ザン。ザシュッ。ズンッ。

流れるような連続攻撃で、すぐさま目の前の一体を斬り裂く。

ぶおん。ズザァ、ザザンッ。

生霊憑依者の振り上げた腕をスライディングで避け、その勢いを利用して別の一体を斬り倒す。

「死ねェイィ!!」

リグルスは火炎弾をセイに向けて放つ。
セイはそれを左手に持った精神剣シグムンドで斬り散らし、攻撃するために間合を詰める。

「甘いわァ!」

リグルスはそのセイの動きを察し、憑依しているパズスの力で空間超越を行い、再び間合を離す。
それと同時に再び火炎弾をセイに向けて放つ。

「霊撃弾(ソウル・マグナム)!」

セイは指先から硬質化させた白銀色の気弾を撃ち放つ。
放たれた気弾はリグルスの放った火炎弾を貫き、リグルスの左肩に命中した。

「おのれ小僧がァ!!」
痛みに猛ったリグルスは、広範囲に氷刃混じりの吹雪と雷撃とを撒き散らす。
「これは避ける事も、斬り払う事も出来んだろおォ!!」
「精神鎧陣(マインド・メイル)!」

しかしセイは慌てずに気法で自分の周囲を白銀色の膜で覆い、リグルスの攻撃を防ぐ。

(…く、前が見えない…)

しかし、その吹雪のために視界を一時的に奪われてしまう。

「貰ったァ!!」

空間超越を使ったのであろう。
いつの間にかリグルスはセイの背後に回りこみ、瘴気で作り上げた刃をセイに向けて振り下ろす!!

「…ったく、どんだけ叩っ斬りゃあいいんだよ…」

息も絶え絶えに毒づくユウ。
既にユウの背後には、数体の生霊憑依者の骸が倒れている。
しかし、生霊憑依者の生命力は思いのほか高く、加えてまだ十体近くの生霊憑依者が残っている。

「けどまぁ、自分で引き受けちまったからな…まだまだダウンは出来ねぇ…しゃあねぇ!もう一踏ん張りするかぁ!!」

自分に言い聞かせるように吼え、ユウは再び生霊憑依者の群に突っ込んだ。

「オラオラオラオラ、死にたい奴から前に出な!」

巧みな二刀捌きで、片っ端から生霊憑依者を斬り伏せる。
その攻撃の前に、少しづつではあるが、確実に生霊憑依者は数を減らして行き、そして─

「てめェで、最後だぁ!!」

残る一体の生霊憑依者の首を、二刀で挟む様に斬り飛ばした。

「へへへ…ざまぁみやがれ…それにしても…疲れた…」

「…甘いよ、リグルス」
「何だとッ!?」

背後から振り下ろされた刃を、セイは振り返る事無く右手に持っている剣で受け止めた。
リグルスにしてみれば、今の一撃はまさしく必殺の一撃だったに違いない。
それも、視界を奪った上で背後から仕掛けたのだ。
にもかかわらず、セイはそれをあっさりと防いでのけた。恐るべき気配探知能力である。

「今度はこっちの番だ!」
振り向きざまに左手に携えたシグムンドを一閃するセイ。
その一撃は、リグルスの胴体を深々と斬り裂いた。

「ガハァァァァァァ!!」

苦痛に絶叫するリグルス。
憑依が解けかけているのか、その声にブレが生じている。
その隙を逃さず、セイはさらに追撃をかけた。
右の突きから左へ薙ぎ、さらに右へ薙ぐ連撃。
左の斬り上げ、左右からの二連袈裟斬り。
二連斬り上げから連続で突きを穿つ。
セイの流れるような連撃。それは、さながら舞踏のように美しく、しかし
その一撃一撃が、容赦なくリグルスに襲い掛かる。

「グ…まダだ…マだマケるわケニは…いかヌ…」

全身からおびただしい量の血を滴らせるリグルス。
これだけ傷ついてなお、セイを倒す事のみが彼の頭の中を占めている。

「悪いけど…これで終わらせる」

そのリグルスを見て、セイは静かに、しかし力強く言葉を発した。
そして静かに、哀れむように、言魂の詠唱を始めるセイ。
「我が内に眠るるものよ、汝の名は精神(こころ)、其の名の下、我ここに汝に願わん…我が前に在りし邪なる者に、神心(しんしん)なる十字の裁きを与えん事を…!精神十字裁(マインド・クルス)!!」

十字を模して合わせられたセイの掌から、同じように十字の形をした銀色の波動が放たれる。

「イ…イやダ…まダきえタク…キエたクナい…!」

十字の形をした波動を受け、肉体が、精神が、魂が、そして存在そのものが消滅してゆくリグルス。

「せめて今度は…まともな人間として生まれ変わってくれ…これが僕からの…せめてもの鎮魂歌だ…」

今にも消え入りそうな声で、リグルスに向かって呟くセイ。

「よぉ、セイ。やっと終わったな…」
セイに声をかけるユウ。
「…そうだね」
ユウに応えるセイ。

二人の死闘は、今ここに終わったのだ─

* * *

「さ、着いたよ。ここが僕の育った街…アストアタウンだ」
「へぇ…案外、良い所じゃねえか」
「そう?気に入ってもらえて嬉しいよ」

あの湖畔での闘いの後。
セイはユウを連れて、自分の生まれ育った地へと歩みを進めていた。
今回の事件に協力する前に約束させた『仕事内容を盗賊団から傭兵団へと変える事』を果たさせるために。
もっとも、ユウの要望で傭兵団ではなく、『レンジャー団』─ありていに言えば、厄介事引受屋のようなもの─として生まれ変わる事になったのだが。
セイもそれを承知し、そのレンジャー団を開業させる地を何処にするかで悩んでいた折に、ここアストアタウンで始めてみたらどうだろう、という事になった。
それを街の長に相談するために、ユウを連れてきた、という事になる。

「なあ…本当に迷惑じゃないのか? 俺達みたいな連中が押し掛けちまって」
「何言ってるんだよ?みんな、歓迎してくれるさ…あ、兄さん!」

セイとユウがそんな会話をしていた時、緑色の長髪を首筋で一つ結びにした青年が2人の前を横切った。
彼はカイン・ヴィクトリィ。セイの兄である。

「お帰り、セイ。…その様子じゃ、また一段と腕を上げてきたみたいだな」
「修行の成果、後で見てよ、兄さん」
「ああ、もちろん。…ところでセイ、その後ろの少年は?」
「あ、紹介がまだだったね。彼はユウって言うんだ。僕が今回の旅で知り合った友人だよ」
「おいおい、誰が友人だよ…。ま、とにかく自己紹介な。俺はユーベル・レイデンヘヴンってんだ」
「俺はカイン。カイン・ヴィクトリィ。よろしく、ユーベル」
「あ、ユウって呼んであげて、兄さん」
「OK。じゃ、改めてよろしく、ユウ」

微笑みながら手を差し出すカイン。
ユウもそれを受け、少し顔を赤らめて照れくさそうに手を差し出し、カインと握手を交わし一言。
「おう…よろしくな」
「それで兄さん、ちょっと相談に乗って欲しいんだ…」

セイとユウは、これまでの事の顛末をカインに話した。

「と言うわけなんだけど…何とかならないかな?」
「ふぅむ…セイの人を見る目に狂いは無いから大丈夫だとは思うけど、ね。…ま、とにかく俺も一緒に長さまに掛け合ってみるよ」
「兄さん、ありがとう!」
「気にするなって。じゃ、そうと決まったら早速長さまに相談に行こうか。ユウも一緒に来てくれ」
「…へ? な、なんでだよ?」
「その本人がいなきゃ、話にならないだろ」

「─と言うわけなんです、長さま。彼と彼らの仲間をこの街に一緒に住まわせてもらえないでしょうか?」

この街の長、ガージェス・ブイに事情を説明するカイン。
もちろん、その傍にはセイとユウもいる。
ガージェスはしばし黙考した後、口を開いた。

「いいだろう。ただし、条件がある。殺しや盗み、その他犯罪の類の依頼は決して取り合わない事。これが約束できるかな、ユーベル・レイデンヘヴン」

ガージェスの暖かく、かつ厳しい一言。

「ああ、もちろんだぜ!必ず、この街のみんなの役に立って見せるぜ!!」

ユウはガージェスを正面から見据え、言葉を返す。その瞳には、揺ぎ無い意志。

「…よし、ならばすぐにでもこの街に仲間の皆さんを連れてきなさい。すぐに、新たな街の住人の歓迎をしよう」
「ああ、判ったぜ!2、3日で戻って来らぁ!」

はしゃぎながらガージェスの家を飛び出したユウ。
それを微笑ましそうに見送る3人。

…それから1週間がたった。
ユウ達の歓迎の宴も終わり、レンジャー団『白銀の太陽(シルバー・サン)』の本部となる建物も完成した。

「兄さん、行くよ!!」
「ああ、何処からでも来い!」

セイは愛用の剣を、カインも格闘戦に対応できるようしつらえたブーメランを手に、互いに対峙する。
あれから、セイは暇を見てはカインに模擬戦で稽古をつけてもらっている。
ユウはユウで、レンジャー団結成のために忙しい日々を送っていた。
そしてユウは本部となった建物の一室で目を覚ます。

「さぁて…今日から本格的にレンジャーとしての仕事がスタートか…。ま、こーいうのも悪くねぇな!!」

身支度を整えながら窓を開け放ち、ひとりごちるユウ。

そう、新しい生活はこれから始まるのだ…。


                                   FIN


 †筆者あとがき─白銀の痕を書き終えて†

ういっす、風音飛空鳥です。
この小説は、オレの完全オリジナルネット小説処女作2作のうちの片割れです。
(版権ものなら以前に何個か書いた事はありますが。)

一応、自分で自分の小説を講評する前に、この小説を書くに至った経緯から紹介しましょう。

そもそも、このお話は双造大陸伝グラストリアの番外編のようなものとして造りました。
しかし、書き始めようと考え始めた頃はその事を全く考えておらず、自分の持ちキャラも主人公連中以外にいない状況でした。
そこで考えたのが、ネット小説と言うことをイカした(?)作戦を思いついたのです。
すなわち、オレのON友のホムペ管理人さんに小説をプレゼント&キャラデザの依頼!(爆)
…スミマセン、本当の話です。(核爆)

さて、自分の首を絞めるマネはこの辺で中断して、本題の小説の自己講評。

初めての長編なわりには、そこそこな仕上がりになっているとは思います。
ただ、微妙にChapter.3が盛り上がりに欠ける部分だったかな…と反省です。
こういったファンタジーモノはバトル以外の箇所もしっかり書き込まなけりゃいけないんですよね。
次回作では、この辺、精進したいと思います。

で、今回の主人公に、オレが所有するキャラの中からセイ・ヴィクトリィを選んだ理由。
メイン主人公のカイン・ヴィクトリィでも良かったんですが…
やっぱり、ユウの年齢とかを考えた場合、一番ストーリーに絡ませ易いのはセイだと判断し、主人公にしました。
それに、オレの手持ちキャラの中では上手くセイと絡ませられるキャラが少なかったから、と言うのも理由かもしれませんね。
まあでも、セイとユウのコンビは書き手の予想以上に上手く噛み合ってくれたんで、よしとしましょう。

で、今回の最大の魅せ場である、セイ&ユウのコンビと、リグルス&生霊憑依者チームの戦い。
初めての小説で、初めて多次元戦闘中継なる高度な事をやってしまいました。
ここが、作ってる人間にも最大のヤマ場だった…。(苦笑)
普通に戦闘してるだけじゃつまらないしなぁ…と考えるうちにその前の展開でゾンビどもをユウが引き受ける事にしちゃったか
ら、これはもうやるしか!! などど意気込んでました。(笑)
結果…まあまあでしたね。
やる前にスレイヤーズやらクロスカディアを読み返して予習しておいて良かった…ありがとう、神坂一さん。(核爆)

そして、このバトルシーンの中でも一番苦労した所、セイの言魂詠唱。
たった2行のために、30分悩みまくってました。(実話)
その結果がアレです…微妙にヘコんでます。
もっと表現覚えなアカン…とはいっても、もう変更することは出来ませんが。(核爆)

最後に少しヘコんだところで、そろそろこの辺で。
次回作でお会いましょう。

                                  風音飛空鳥

戻る